Cisco IOS に標準搭載されているネットワーク監視・測定機能です。
ルーター自身が「疑似トラフィック」を送信して、遅延(Latency)、ジッタ、パケットロス、可用性などをリアルタイムで測定します。
ネットワーク SLA(Service Level Agreement)を可視化
回線の品質を継続監視
障害検知・経路切り替え(Tracking と組み合わせ)
VoIP、VPN、WAN 回線などの品質チェック
ISP/AWS/GCPなど外部宛の監視にも利用可能
代表的な IP SLA タイプ一覧
| SLA タイプ | 説明 |
|---|---|
icmp-echo | ping と同じ |
udp-jitter | VoIP 品質測定 |
tcp-connect | TCP ポートの応答確認 |
http / https | Web サーバ応答確認 |
dns | DNS 解決時間測定 |
dhcp | DHCP 応答確認 |
mpls-lsp ping | MPLS LSP の遅延測定 |
IP SLA の主な特徴
| 測定項目 | 内容 |
|---|---|
| 往復遅延(RTT) | ping 相当。片方向遅延は別途対応機器が必要。 |
| ジッタ | VoIP に重要なパケット間遅延のばらつき。 |
| パケットロス | 送信/受信の損失。 |
| TCP 接続時間 | Web サーバへの応答時間など。 |
| DNS レスポンス | DNS 解決の速度。 |
| HTTP/HTTPS レスポンス | Web サイトの応答測定。 |
IP SLA の基本フロー
- Router1 が probe(疑似パケット)を送る
- Router2 が応答する(またはサーバが応答)
- Router1 が以下を測定:
- RTT(往復遅延)
- ジッタ
- ロス
- 応答時間
- 測定結果を保持し、SNMP で監視ツールから取得可能。
- Tracking と組み合わせると、経路切り替え(動的フェイルオーバー)が実現。
まとめ
- IP SLA は Cisco の強力なネットワーク品質測定機能
- 遅延、ジッタ、ロス、応答時間を継続監視できる
- track と組み合わせれば自動フェイルオーバーが構築できる
- Ping だけでなく HTTP/TCP/DNS など多彩な監視が可能