BGP同期(BGP syncronaization)とは


“IGP が知らない経路を BGP だけで AS 内に広告してはいけない”
という古いルールのことです。

理由:
昔は AS 内部のルータが 全て iBGP を持っていなかった ため、
AS 内のどこかのルータが BGP 経路を知らずにトラフィックがブラックホールになる危険があったから。

同期の背景

昔のネットワーク

  • iBGP フルメッシュが困難(ルータ性能が低い・設定が重い)
  • 多くの内部ルータが BGP を喋らない
  • IGP(OSPF、EIGRP、RIP)が 経路配送の中心 だった

そのため:

外部から学習した BGP 経路は、IGP にも再配布されて全ルータが知っていないと安全に使えない

これが Synchronization の考え方。

現在のネットワークでは必要か?

ほぼ 100% 不要。むしろ OFF が前提。

理由:

1. iBGP フルメッシュ or Route Reflector で AS 内全体へ配送できる

現代では AS 内の BGP 経路は RR によって確実に伝わる。

2. IGP に外部経路を再配布するのは危険

  • IGP が巨大化する
  • OSPF/EIGRP が破綻
  • 収束遅延・CPU負荷増加

IGP と BGP の役割分担:

  • IGP:内部の到達性 (next-hop まで)
  • BGP:外部の経路(prefix)

Cisco IOS での設定

🔧 同期を無効(推奨)

router bgp 65000
 no synchronization

IOS のデフォルトは no synchronization

まとめ

  • 昔: IGP に BGP 経路を再配布していた
  • そのため: iBGP だけの経路はブラックホールになる
  • だから: 同期という安全装置が必要
  • 今: RR で iBGP 全域に配布できるため同期は不要