BGP の origin(オリジン)属性 は、
「その経路がどこから来たのか」を示す 経路属性(Well-known Mandatory) です。
BGP では必ずどの経路にも origin が付きます。
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BGP Origin 属性とは
経路が生成された“元のルーティングプロトコル”を表します。
値は3種類しかありません:
| 値 | 名称 | 意味 | 優先度(低い数が優先) |
|---|---|---|---|
| i | IGP | もともとネットワークコマンドで生成された(内部で宣言) | 最優先 (1) |
| e | EGP | 古い外部ゲートウェイプロトコル(EGP)経由 | 中間 (2) |
| ? | Incomplete | 再配布(redistribute)で入ってきた | 最優先されない (3) |
Origin がどこで決まるか
① IGP(i)
以下の時に origin が「i」になります。
network 192.168.1.0 mask 255.255.255.0
→ 自分で「このネットワークを広告して!」と宣言した経路- aggregate-address などで生成された経路も「i」
② EGP(e)
- これは昔の EGP ルーティングプロトコル由来
- 現代のネットワークでは ほぼ使われない
③ Incomplete(?)
以下のように、別プロトコルから経路を再配布した場合:
redistribute connectedredistribute staticredistribute ospf 1redistribute eigrp 1
このときは 元が BGP ではないため、どこから来たかわからない →「?」
Path Selection(経路選択)での優先順位
BGP の決定プロセスで origin 属性は かなり後半の条件 です。
優先順位としてはこんな感じ:
- weight(Cisco独自)
- local preference
- locally originated(network/aggregate/static)
- AS-PATH 長さ
- origin type(i が強い,? が弱い)
- MED
- eBGP > iBGP
- IGP metric
… など続く
Origin は AS-PATH より後、MED より前。
実際の show コマンド例
R1# show ip bgp 10.10.10.0
BGP routing table entry for 10.10.10.0/24, version 12
Paths: (2 available)
65001 65002
192.0.2.2 (metric 0) from 192.0.2.2 (1.1.1.1)
Origin IGP, localpref 100, valid, external
65001 65003
203.0.113.3 (metric 0) from 203.0.113.3 (2.2.2.2)
Origin incomplete, localpref 100, valid, external
→ Origin IGP の経路が優先される。
まとめ
- BGP origin は 経路生成元 を示す属性
- 3種類:i(IGP) > e(EGP) > ?(Incomplete)
- network コマンドは「i」、再配布は「?」
- 経路選択では origin が小さいほど優先