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③ PPPoE セッションを受ける物理ポート側の設定

ここでは ③ PPPoE セッションを受ける物理ポート側の設定を解説します。

PPPoE サーバーで最も“つまづきやすい”ポイントは 物理ポートの設定です。

PPPoE セッションを受ける物理ポートの役割とは？

PPPoE サーバーとして動作する Cisco ルーターは、
PPPoE Discovery（PADI/PADO/PADR/PADS）を受け付けるポートを必要とします。

この物理ポートに対して以下を設定します：

  • PPPoE を有効化する（AC＝Access Concentratorとして動作）
  • 最大 PPPoE セッション数
  • L2 フレームの受信設定（no ip address）
  • VLAN を扱うなら sub-interface を使用

最も基本的な例：

interface GigabitEthernet0/1
 no ip address
 pppoe enable group global
 pppoe-max-sessions 100

各コマンドの詳しい意味

① no ip address

PPPoE サーバー側のポートは L2（イーサネット）で動くため、
そのポートには直接 IP を付けません。

理由：PPPoE は L2 上の PPP フレームで動作するから

② pppoe enable group global

pppoe enable group global

これが最重要。

  • この物理ポートを PPPoE Discovery を受ける AC（Access Concentrator）として有効化
  • group global は PPP パラメータのグループ名
    通常は global を使う（特別な場合のみグループを作る）

③ pppoe-max-sessions 100

pppoe-max-sessions 100

このポートで受け付ける PPPoE セッション数の上限。

  • ISP なら数百〜数千（機種による）
  • 小規模なら 10～50 でもOK

Cisco ISR の一般的な推奨値：

ISR推奨最大セッション
ISR4321～4096
ISR4331～8192
ISR4351～16384
800/1000 シリーズ100～500 程度

PPPoE を受けるインターフェースは “L2 接続”

PPPoE は イーサネットフレームの中に PPPoE が入るため、
物理ポートはスイッチの L2 ポートや ONU に直結されることが多いです。

接続例（家庭やオフィス向け）

PC → スイッチ → Cisco（PPPoEサーバー）

VLAN（マンション/ISP向け）で PPPoE を受ける場合

マンションインターネット等では VLAN-tag された PPPoE を受けます。

VLAN 100 の PPPoE を受ける例

interface GigabitEthernet0/1.100
 encapsulation dot1Q 100
 pppoe enable group global
 pppoe-max-sessions 200

PPPoE サーバーのフル構成（例：1ポートで受ける）

interface GigabitEthernet0/1
 no ip address
 pppoe enable group global
 pppoe-max-sessions 200

Virtual-Template と組み合わせると、

interface Virtual-Template1
 mtu 1492
 ip unnumbered GigabitEthernet0/0
 peer default ip address pool PPPoE-POOL
 ppp authentication chap pap

物理ポートのステート確認方法

PPPoE Discovery が来ているか

show pppoe session

例：

PPPoE Session Information
-------------------------
Session ID: 10
State: UP
MAC: 00:11:22:33:44:55

PPPoE 関連のよくある失敗例

❌ 1. ip address を付けてしまう

PPPoE は L2 フレームなので IP を付けると Discovery を受け付けられない。

❌ 2. 上流のスイッチで PPPoE フレームが通っていない

スイッチの設定で：

  • PPPoE（0x8863/0x8864）をフィルタしている
  • VLAN 設定が間違っている
  • ループ防止機能で止めている（BPDU Guard、storm control）

などで止まることがある。

❌ 3. PPPoE セッション数の上限に到達

pppoe-max-sessions を超えると新規接続不可。

❌ 4. VLAN タグが違う

PPPoE クライアントが VLAN tag ありで送信しているのに
物理ポートが untagged のまま、など。

❌ 5. Virtual-Template の紐づけミス

Virtual-Templateの設定が誤っていて
PPPoE が Session UP しない。

PPPoE 受けポートの設定、まとめ

設定意味
no ip addressL2 モードで使う
pppoe enable group globalPPPoE Discovery/PADI受信、ACとして有効化
pppoe-max-sessions同時接続上限