ネットワークエンジニアでフリーランスの日々

ネットワークエンジニアでフリーランスのサイトです

お問い合わせ

OSPFの設定(router-id)

OSPFにおける Router ID は、OSPFルータを 一意に識別するためのID です。

Router IDとは？

  • 各OSPFルータには、32ビット（IPv4形式）の識別番号が割り当てられます。
  • **IPアドレス形式（例：1.1.1.1）**で表記されますが、実際には「番号」であり、IP通信には使用されません。
  • OSPFの ルータ識別子（ID） として、ネットワーク全体で重複してはいけません。

Router ID の役割

用途説明
ネイバー識別show ip ospf neighbor に表示される「Neighbor ID」として使われる
LSA生成元識別show ip ospf database の「Adv Router（広告ルータ）」として表示される
SPF計算のノードIDSPFツリー上で各ルータを一意に区別するために利用される
DR/BDR選出ルータIDが最も高いものが選ばれる（優先度が同じ場合）

Router ID の決定順序

OSPFプロセス起動時に、以下の優先順位で自動的に決まります。

優先順位条件例
① 手動設定（推奨）router-id コマンドで明示的に指定された値router ospf 1
router-id 1.1.1.1
② ループバックアドレス最も大きいループバックインターフェイスのIPv4アドレスLoopback0: 10.1.1.1
③ 物理インターフェイスループバックがない場合、最も大きい物理インターフェイスのIPv4アドレスGigabitEthernet0/0: 192.168.1.1

注意:
Router ID は OSPF プロセスが起動した時点で決まります。
途中で変更したい場合は、OSPFプロセスの再起動が必要です。
（clear ip ospf process コマンド）

Router ID の設定例

Router(config)# router ospf 1
Router(config-router)# router-id 1.1.1.1

再起動して反映：

Router# clear ip ospf process

確認コマンド

Router# show ip ospf

出力例：

Routing Process "ospf 1" with ID 1.1.1.1
Supports only single TOS(TOS0) routes
SPF schedule delay 5 secs, Hold time between two SPFs 10 secs
...

ここで表示されている「Routing Process with ID 1.1.1.1」が Router ID です。

注意点

項目内容
重複禁止同一OSPFドメイン内で同じRouter IDがあるとLSAの衝突が起きる
変更には再起動が必要Router ID変更時にOSPFプロセスを再起動しないと反映されない
Loopback推奨安定したIDとするため、ループバックインターフェイスのアドレスを使用するのが一般的

Router IDと実際のIPアドレスの違い

項目Router IDIPアドレス
形式IPv4形式の番号IPv4アドレス
用途識別（通信には使用しない）通信に使用
設定方法明示指定 or 自動選択インターフェイス設定で決定
安定性変更しない方が良いネットワーク設計に応じて変更可