リンクステート型ルーティングプロトコル（Link-State Routing Protocol）は、
ネットワーク内の全体構造（トポロジ）を把握して最短経路を計算するタイプのルーティングプロトコルです。
代表例は OSPF や IS-IS です。
基本の考え方
リンクステート型は、「自分がどんなリンク（インターフェイス）を持ち、隣にどんなルータがいるか」という状態情報をネットワーク全体に共有します。
これにより、各ルータはネットワーク全体の地図（トポロジマップ）を持ち、そこから最短経路を自分で計算します。
動作の流れ（5ステップ）
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 隣接関係の確立 | Helloパケットを使って近くのルータを発見し、「隣接関係（Neighbor）」を作る。 |
| ② LSDBの交換 | 自分のリンク情報（インターフェイスやコスト）を「LSA」として隣接ルータに送る。 |
| ③ LSAのフラッディング | 受け取ったLSAを他のルータに再配布し、全ルータが同じ情報を持つようにする。 |
| ④ LSDB（Link-State Database）の作成 | 受け取った全LSAをまとめ、ネットワーク全体のトポロジを構築。 |
| ⑤ SPF（Dijkstra）アルゴリズムで最短経路を計算 | 各宛先への最短パスを算出し、ルーティングテーブルに登録。 |
対応するプロトコル
| 分類 | 代表的なプロトコル | 備考 |
|---|---|---|
| リンクステート型 | OSPF, IS-IS | 自律システム（AS）内で使用（IGP） |
| ディスタンスベクタ型 | RIP, IGRP | 隣接ルータに経路とメトリックだけを伝える方式 |
リンクステート型の特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| ネットワーク全体を把握 | 各ルータが全体のトポロジ情報を持つ。 |
| 高速な収束 | トポロジ変更時の再計算が速い。 |
| ループしにくい | SPF計算でループを防げる。 |
| メモリ使用量が多い | トポロジ情報を全ルータが保持するため。 |
| 処理が重い | SPFアルゴリズムの計算コストが高い。 |
各ルータは、自分がどのルータにどんなコストでつながっているか（リンク情報）をLSAとして配布。
全ルータは、同じネットワークマップを持つ。
各ルータはそのマップをもとに、宛先までの最短経路を計算（Dijkstraアルゴリズム）。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類 | リンクステート型ルーティングプロトコル |
| 主なプロトコル | OSPF, IS-IS |
| 情報の共有単位 | LSA（Link State Advertisement） |
| 経路計算 | Dijkstra（SPF）アルゴリズム |
| メリット | 高速収束、ループしにくい、効率的な経路選択 |
| デメリット | メモリ・CPU負荷が高い、小規模ネットワークでは過剰 |