OSPF(Open Shortest Path First)とは、リンクステート型のルーティングプロトコルです。
主に、内部ゲートウェイプロトコル(IGP)としてLANや企業ネットワーク内で広く使用されています。
OSPFでは、宛先までの経路上の各リンクコストを合計して最終的なルートコストを求めます。

OSPFのコストとは、
「そのルート(経路)の通信コスト=通るリンクの優先度」を示す値のことです。
OSPFは「最もコストが低い経路」を最短経路として選びます。
Contents
基本の考え方
- OSPFではコストが低い=速い/優先的に使いたい経路とみなされます。
- コストはルータのインターフェイス単位で設定されます。
- 経路全体のコストは、通過するすべてのインターフェイスのコストの合計で決まります。
| 回線速度 | 計算式 | コスト |
|---|---|---|
| 10 Mbps | 100,000,000 ÷ 10,000,000 | 10 |
| 100 Mbps | 100,000,000 ÷ 100,000,000 | 1 |
| 1 Gbps | 100,000,000 ÷ 1,000,000,000 | 0.1 → 切り捨てて1 |
| 10 Gbps | 同上(最小値が1なので) | 1 |
高速回線(1G以上)ではコストがすべて「1」になってしまうため、
実際の設計では auto-cost reference-bandwidth コマンドで基準値を変更することが多いです。
基準値の変更例(Cisco)
router ospf 1
auto-cost reference-bandwidth 10000
→ これで10Gbps回線までコスト差をつけられるようになります
手動設定
インターフェイスごとにコストを手動で設定できます。
interface GigabitEthernet0/0
ip ospf cost 5
各インターフェイスのOSPFコストを確認
show ip ospf interface
出力例:
Router# show ip ospf interface GigabitEthernet0/0
すべてのOSPFインターフェイスを一覧表示
show ip ospf interface brief
出力例:
Router# show ip ospf interface brief
Interface PID Area IP Address Cost State Nbrs F/C
ルーティングテーブルで経路の総コストを確認
show ip route ospf
出力例:
O 10.0.0.0/24 [110/30] via 192.168.1.2, 00:00:22, GigabitEthernet0/0
OSPFの基本概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プロトコル名 | Open Shortest Path First |
| 種類 | IGP(Interior Gateway Protocol) |
| 方式 | リンクステート型(Link-State) |
| 経路計算アルゴリズム | SPF(Shortest Path First)= ダイクストラアルゴリズム |
| 管理距離(AD値) | 110 |
| トランスポート層プロトコル | IP(プロトコル番号 89)を直接使用(TCP/UDPではない) |